なんだか重そうなタイトルのミステリー小説
今回はあまり読まないミステリー小説を読んでみようと思い、衝撃的なタイトルの本を手に取りました。
ミステリーって推理が難しくて敬遠していたんですよね
タイトルはずばり「十二人の死にたい子供たち」です。
うーん気になる。
映画化もしてるようなので期待大です。
陰鬱な感じにならないか不安でしたが、結果的にはかなり面白く読めたのでご紹介します。
最低限のネタバレを含みますが、結末は是非ご自身で確かめてみてください。
「十二人の死にたい子どもたち」の概要
【基本情報】
- 著者:冲方 丁
- 定価:780円+税
- 発行年月:2018年10月
- 頁数:495
- 出版:文春文庫
【目次】
- 第1章 集い
- 1.数字
- 2.子どもたち
- 3.部屋
- 4.採決
- 5.質疑応答
- 第2章 投票
- 1.疑惑
- 2.ホケンキン
- 3.車椅子
- 4.スニーカー
- 第3章 テスト
- 1.屋上
- 2.実行準備
- 3.マスクと帽子
- 4.沈黙と電話
- 第4章 告白
- 1.無知
- 2.紛糾
- 3.ドア
- 4.弾劾(だんがい)
- 第5章 最後の時間
- 1.人殺し
- 2.安楽死
- 3.時間
- 4.決議
- 解説 吉田伸子
舞台は4階建ての大きな廃病院。
そこに10代の若い男女12人が安楽死をするために集まります。
しかしそこにはいるはずのない13人目の死体が、、、
安楽死の決行は決を採って全員一致が原則というルールでした。
1人が決行に反対したことにより、13人目の死体が誰なのか、なぜいるのか議論が始まります。
12人の議論を重ねるうえで各々の心情や謎が見えてきます。
最後は決行されるのか!?ぜひ読んでみてください!
著者の紹介「冲方 丁(うぶかた とう)」
【略歴】
- 1977年2月14日生まれ(45歳)
- 日本の小説家、脚本家
- 早稲田大学在学中に「黒い季節」で第1回スニーカー大賞金賞受賞し小説家デビュー
- 2017年「十二人の死にたい子どもたち」で第156回直木三十五賞候補、第4回高校生直木賞候補
本書は受賞候補に上がるほどの作品であったようですね。
このほかにも日本SF大賞、本屋大賞など数多くの賞を受賞しています。
有名なアニメでは、攻殻機動隊、PSYCO-PASSのシリーズ構成・脚本を務めているようです。
読んだ感想・ポイントまとめ
目的は集団安楽死
何といっても十二人で集団安楽死というぶっ飛んだ設定。
日本は若者の自殺者が国際的に見ても多く、絶対ないかと言えばもしかしたらあるかもという絶妙な設定ですね。
(日本にはもちろん安楽死は認められていませんし、自殺は絶対にするべきではありませんよ。)
この設定のおかげで終始緊張感があり、物語にのめり込んでしまいます。
十二人各々の事情は後半に分かりますが、考えさせられるものから意味わからんものまで様々です。
悩みというのは周囲の環境や考え方で無限にあり、思い詰めると最悪な方向に考えてしまいます。
この本ではなぜ若者が死にたくなってしまうのか、現代の子どもたちの苦悩から考えるべきことがたくさんあります。
大人になったから、健康だからといって考えなくていいものではありません。
子供を身体的にも精神的にも支えるのが親や大人の役割ですね。
ちなみに私自身は病気などはなかったですが、学校での生活で悩むことはたくさんありました。
今思えば視野が狭く、周りに友達もいたので何とか乗り越えられましたが、打つ手はいかようにもあったなと思います。
登場人物の把握が大変
登場人物は以下の12人+13人目の死体です。
番号 | 名前 | 特徴 |
---|---|---|
1 | サトシ | 主催者、冷静 |
2 | ケンイチ | 空気が読めない、まくしたてる |
3 | ミツエ | ピンクゴシック姿 |
4 | リョウコ | 帽子にマスク、顔を隠している |
5 | シンジロウ | 薬の副作用で頭髪無し、推理役 |
6 | メイコ | 気弱な少女、リーダー格についていくタイプ |
7 | アンリ | 長身黒髪少女、気が強い |
8 | タカヒロ | ペットボトルを持っている、気弱で声がつっかえる |
9 | ノブオ | メガネ、坊主、明るく汗っかき |
10 | セイゴ | 金髪ヤンキー、たばこ、派手シャツ |
11 | マイ | 金髪、天然、会話がかみ合わない |
12 | ユキ | 寡黙な少女 |
13 | ? | 生暖かい少年の死体 |
話し方や性格は多種多様で特徴があります。
しかし文章を読んでいくと、名前で呼ばれたり番号で呼ばれたり、はたまた見た目や行動で呼ばれたりと、最初は特に把握が難しいと感じました。
(慣れてないだけかもしれませんが)
これに関してはメモか何かに記しておいた方がいいですね。(自分はメモ取りながら読んでました笑)
あとしっかりと推理をしたい人は行動も覚えておきたいですね。
また舞台の廃病院は4階建てであちこち歩き回ります。
それぞれの行動を組み合わせて謎を紐解くにはいちいち見取り図を確認しながら追う必要があります。
ただ読むだけでは理解が難しいので、手間でも頑張らないといけないなと思いました。
最後までどうなるかわからない
問題がなければただ死にたい12人で集団安楽死をしてすぐ終了しますが、もちろんそうはいきません。
まずは13人目の死体について議論を重ねていきますが、次々とトラブルが起きます。
物語は基本5番のシンジロウを中心に推理をしていきます。
段々と登場人物の本性や、嘘、秘密が明らかになってきます。
13人目は一体誰なのか、12人は当初の目的通り集団安楽死を決を採って決行するのか。
それとも別の結末が待っているのか。
特に最後にはかなり衝撃的なことも書かれているので絶対に楽しめますよ。
(ちなみにwiki等も結構ネタバレが書かれていいるので読んだり映画を観てから調べることをお勧めします)
最後に
かなりヘビーなタイトルですが、推理を楽しむことができ、時々面白い箇所があったりと意外な作品でした。
最後の解説でも書かれていますが、エンターテイメントとしてかなり楽しめるのはもちろん、集まった死にたい子どもたちから考えるべきことが多くあります。
それは身近では自分の子どものことを考えることにもつながります。
最後まで読むと正直思っていたよりもかなり面白かったので他のミステリー小説も読みたいなと思いました。
自分のようにミステリーに手を出していない人は是非!
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