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【書評】お探し物は図書室まで(青山美智子)

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大人になっても図書室(図書館)行くと楽しい

みなさんは図書室または図書館は好きですか?

kyon
kyon

私は学生時代は勉強するためによく使っていましたが、大人になってからは普通に本を読むためにもたまに行きます。

読書はした方がいいとはよく言われますが、私も賛成派です。意識して読むように心がけています。

ジャンルは興味あるものはもちろん、普段読まないものもたまに選んで読んだりします。

思わぬ収穫、考え方に触れられることもあっておすすめですよ。

今回は図書室の司書と本が登場人物に影響を与えるストーリー、「お探し物は図書室まで」をご紹介します。

この記事はこんな人にオススメです。

  • 仕事や人生に行き詰まりを感じている人
  • 明日への希望や活力が欲しい人
  • ほんわかと胸が温かくなりたい人
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「お探し物は図書室まで」の概要

【基本情報】

  • 著者:青山美智子
  • 定価:740円+税
  • 発行年月:2020年11月
  • 頁数:325
  • 出版:ポプラ社

【目次】

  • 一章 明香 二十一歳 婦人服販売員
  • 二章 諒 三十五歳 家具メーカー経理部
  • 三章 夏美 四十歳 元雑誌編集者
  • 四章 浩弥 三十歳 ニート
  • 五章 正雄 六十五歳 定年退職

5章立てになっており、それぞれ主人公が異なります。

しかし時間軸は同じため、別の章の主人公など登場人物が出てきたりもします。

共通していることは5人とも仕事や今の状態に悩みを抱いているということ。

そして付近の図書室で不思議な司書さんに出会い、おすすめされた本を通じて自分の「探し物」を見つけていくことです。

主人公の気持ちになってとまどい、考え、引き込まれていく心温まるストーリーです。

お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?
人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた小さな図書室。
彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。

仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。「本を探している」と申し出ると「レファレンスは司書さんにどうぞ」と案内してくれます。

狭いレファレンスカウンターの中に体を埋めこみ、ちまちまと毛糸に針を刺して何かを作っている司書さん。本の相談をすると司書さんはレファレンスを始めます。不愛想なのにどうしてだか聞き上手で、相談者は誰にも言えなかった本音や願望を司書さんに話してしまいます。
話を聞いた司書さんは、一風変わった選書をしてくれます。図鑑、絵本、詩集……。

そして選書が終わると、カウンターの下にたくさんある引き出しの中から、小さな毛糸玉のようなものをひとつだけ取り出します。本のリストを印刷した紙と一緒に渡されたのは、羊毛フェルト。「これはなんですか」と相談者が訊ねると、司書さんはぶっきらぼうに答えます。 「本の付録」と――。

自分が本当に「探している物」に気がつき、
明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。

引用:お探し物は図書室まで|一般書|小説・文芸|本を探す|ポプラ社 (poplar.co.jp)
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2021年本屋大賞2位受賞!

引用:本屋大賞 (hontai.or.jp)

「お探し物は図書室まで」は2021年の本屋大賞で2位を受賞しています。

【本屋大賞とは】

新刊書の書店で働く書店員の投票で決定する賞です。

基準としては過去一年間で書店員自身が読んで「面白い」「お客様に薦めたい」「自分の店で売りたい」と思う本に投票して選ばれます。

本屋大賞HP:本屋大賞 (hontai.or.jp)

2021年本屋大賞は第18回で、2020年12月から2021年4月に実施されています。

受賞に当たり著者の青山美智子さんのコメントを一部引用します。

この小説を書き始めた2020年の春の始まりは、予測できない事態が次々に起こり、なんだかSFの世界にいるみたいだと感じていました。でも、内容は違っても、人類は昔からこんなふうに太刀打ちできない不安を何度も抱えながら生き抜いてきたんだろうなと思ったりも。
それは、「だから人々には物語(フィクション)が必要なのだ」という確信でもありました。

先の見えない不透明な日々を送りながら、ふと、先の見える透明な未来なんてあるだろうか、と思います。
先のことがわからないというのは、悪いことばかりではありません。今まで自分からはずっと遠いところにあると思っていた本屋大賞にノミネートされたこと、そして2位をいただけたこと。ほんの数ヵ月前の私にはまったく見えていなかった景色でした。

本当にありがとうございます。

引用:『お探し物は図書室まで』が「2021年本屋大賞」2位!! 青山美智子さんから喜びのコメントが到着しました!|お知らせ|トピックス|ポプラ社 (poplar.co.jp)

2020年春と言えばコロナ蔓延のパニックの時期ですね。

先行き不透明な世の中だからこそ、元気をもらえるこの作品が多くの人の心を動かしたんだなと思います。

(ちなみに2021年本屋大賞第1位は「52ヘルツのクジラたち」でした。

著者の紹介(青山美智子)

青山美智子さんは1970年6月9日生まれの小説家です。

2017年8月に「木曜日にはココアを」で小説家デビューし、「お探し物は図書室まで」は5作品目に当たります。

本屋大賞は2021年に「お探し物は図書室まで」で2位、2022年に「赤と青とエスキース」で2位、2023年に「月の立つ林で」で5位と3年連続ノミネートされています。

「お探し物は図書室まで」を読んだ感想

ほんわかじんわりする短編集

この本は5章でそれぞれ主人公が異なりストーリーも変わるので、短編集のような形になっています。

簡単な章ごとの概要は以下の通りです。

第1章第2章第3章第4章第5章
主人公名藤木 明香浦瀬 諒崎谷 夏美菅田 浩弥権野 正雄
年齢21歳35歳40歳30歳65歳
職業総合スーパー婦人服販売員家具メーカー経理部出版社資料部
(元雑誌編集部)
無職定年退職
(元食品営業部長)
背景田舎から上京
料理気力なし
25歳の彼女持ち37歳で出産
復職時に不本意な部署移動
デザイン学校卒業
就職失敗
56歳妻はフリーのPCインストラクター
悩み生活と仕事に退屈アンティークショップを起業したい
職場人間関係
雑誌編集者としての仕事がしたい
育児の難しさ
イラストレーターになりたかった
将来の不安
これからの人生の在り方
趣味の無さ
求める本転職・Excel起業・退職娘の絵本漫画囲碁
不思議なレファレンス本ぐりとぐら植物の不思議月のとびら進化の記録げんげと蛙
おまけ(羊毛フェルト)フライパン地球飛行機カニ

最初は主人公がなかなかうまくいかず、読んでいて同情してしまう出来事も多いです。

そこから周りの人との出会い、司書さんと本で各々行動を始めます。

それぞれ背景や悩みが異なりますが、どのように変わっていくかが見所です。

どれかしら自分に近い状況があれば、何かしら行動するヒントが得られるかもしれません。

そしてどのストーリーも最後は温かい気持ちになれます。

特に個人的におすすめは第2章と第3章です。

ちょっと泣きました。

司書さんとお勧めされる本が不思議

この本の大きな役割を果たしているのが、図書室にいる特徴的な司書さんの存在です。

見た目は主人公によって印象が変わりますが、ベイマックス、マシュマロンみたいだと思われていました。

司書さんの第一声は決まって「何をお探し?」と主人公に問いかけます。

普通は何の本を探してるかを伝えるところですが、司書さんの魅力的な声でなぜか主人公たちは人生で探していることを考えてしまいます。

ここを起点として主人公の考えや行動、物語が大きく転換していくような気がしました。

そして司書なので求めているピッタリな本をお勧めしてくれるのですが、最後に1冊関係のなさそうな本も紹介してくれます。

さらにおまけとして司書さんの趣味である羊毛フェルトを1個くれます。

この1冊の本とおまけも大きなきっかけになり物語を左右します。

ぜひどんな影響を与えるのか楽しんで読んでみてくださいね。

登場人物の関わりがおもしろい

章が違っても舞台や時間軸は同じなので、登場人物が別の章でも出てきたりします。

別の章で登場するときに、伏線回収があったり、成長した姿が見れたりするところも胸アツでした。

この本の教訓は人とのつながりだと思います。

人生は何気ない行動が将来に影響を及ぼすことがあります。

ただ自分の目的のためには、自分から行動を起こしてみることが重要だなと感じさせられました。

まとめ

今回は「お探し物は図書室まで」をご紹介しました。

本書最後の解説にも書いていましたが、この作品はフィクションだと感じさせないくらいリアリティがあり引き込まれます。

しかも短編集なので読みやすく、個人的には支えとなる1冊になったかなと思います。

また本書で登場する本は実際に出版されているものばかりなので、今後気になるものを読んでいこうと思います。

ぜひ実際に読んでみてこの温かい気持ちを体験してみてくださいね。

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