勢いが止まらない「変な家」シリーズ。
間取りと雨穴さんの著書が、どの書店に行っても目につきます。
私もドハマりしており、1作目も映画も見に行きました。
「変な家」「変な家(映画)」の感想は以下からご覧ください。
今回は「変な家2」を読みましたのでご紹介します。

前から読んでたのですが、何度も何度も読み返してて書評を書けてませんでした(笑)
「変な家2」の要約
【基本情報】
- 著者:雨穴
- 定価:1,500円+税
- 発行年月:2023年12月
- 頁数:435
- 出版:飛鳥新社
【目次】
- 資料① 行先のない廊下
- 資料② 闇をはぐくむ家
- 資料③ 林の中の水車小屋
- 資料④ ネズミ捕りの家
- 資料⑤ そこにあった事故物件
- 資料⑥ 再生の館
- 資料⑦ おじさんの家
- 資料⑧ 部屋をつなぐ糸電話
- 資料⑨ 殺人現場へ向かう足音
- 資料⑩ 逃げられないアパート
- 資料⑪ 一度だけ現れた部屋
- 栗原の推理
フリーライターの「著者」と設計士・栗原のコンビが、新たな謎に挑む間取りミステリー第2弾
変な家2 11の間取り図
変な家2は、変な家の出版後著者のもとに集まった家に関する不思議な情報をもとに、何か関連のある11のストーリーを読み解き繋がりを見つける物語です。
全然関係なさそうなストーリーもありますが、すべて繋がっています。
読み進めるうちに著者含め登場人物も推理をしていく、そして読者にも推理をさせていく間取りミステリーです。
著者の紹介(雨穴)

インターネットを中心に活動するホラー作家。
変な家 2 11の間取り図
ウェブライター、Youtuberとしても活動している。
YouTubeでは全身黒タイツに白塗りの仮面をかぶった雨穴さんを見ることができます。
動画は「変な家」のようなミステリーや、歌などを投稿しており、不気味な雰囲気が漂います。
ウェブライターとしては、オモコロというWebメディアに記事を投稿しています。
じんわりと怖くなってくる話もあれば、独特過ぎて面白い話がたくさんあるので、ぜひ覗いてみてください。
変な家以外にも変な絵という書籍も書評出してますので、読んだ方はぜひ見てみてくださいね。
変な家2の相関図(家系図)まとめ※ネタバレ注意
タイトルの通り変な家2は11のストーリーの繋がりを見つけていくため、登場人物が多く、表記が異なる同一人物も存在します。
そこで変な家2に登場する人たちの相関図(家系図)をまとめてみました。

間違っていたらごめんなさい。
ネットで調べても全体の相関図は出てこないんですよね…

簡単に各登場人物のメモも書いています。
上に書いてある数字は登場するストーリーの番号です。
また赤色は物語の中心となる御堂陽華璃(聖母様)=ヤエコ=左腕が膿んでた赤ちゃん=ミツコちゃんのお祖母さんです。
そして黄色が再生のつどいに入信し、ヒクラハウスの減築工事をしようとしていた信者です。
特に分かりにくいのはヤエコと笠原父が登場回数も名前違いも多いですね。
再生のつどいが中心の話のため、不倫する人が多い!
感想
やはり変な家シリーズ、間取りの推理は面白い!

今回は11のストーリーが語られ、最後に筆者や栗原が推理していく構成となっています。
筆者もそうですが、登場人物たちも独自の推理をしていくため、仮説がとにかくたくさん立てられた印象。
ただし全部あっているとは限らず、関係性や家の意図、矛盾点が出てきて都度修正されていきます。面白い…!
特に最初はミスリードも多く出てくるので、振り回される人も多いはず。
冒頭に書かれている、「読者も推理してほしい」との思いが伝わる構成だったと思います。
ページ数は432ページと多く本も分厚いですが、栗原の推理で筋道立てて解説してくれているので思ったより読みやすいと思います。
そして変な家と言ったら不思議な間取りです。
すべての話で間取りが出てきて、色々なおかしな点が出てきます。
また「変な家」で出てきたような、窓がない、秘密の部屋も登場しますし、間接的に人を殺す間取り、奇妙な増築減築、機械仕掛けなどなど盛りだくさん。
実は本書には書かれていない、明かされていない隠し部屋があるかもと勘ぐってしまいますね。

また記憶をリセットして推理して読んでみたいなあ
怖いのは醜い人間関係(不倫や売春)、宗教、殺人事件

本作で怖いなと思ったのは3つあります。
1つ目は人間関係(不倫と売春)です。
不倫をしてしまった罪悪感、そして言い逃れの出来ない状況(身籠る)が出来てしまい、人生を破滅させる人が多く登場します。
罪悪感を抱くなら不倫すんなよ!と突っ込みたいですが、今でも芸能人の不倫がよくニュースになったりしますよね。
①のストーリーだけはまだやむを得ない事情&夫側も了承している(栗原推理)のであれば、まだ救いはあるんですがね。
そして幼女(ヤエコ娘)売春をした緋倉正彦もやばい。
児童買春をしているのはヤクザですが、違法なことをお金の力で強行する社長とか気持ち悪い~
ヤエコ娘が黒幕っぽいことは最後に推理されてましたが、もし児童買春したのが権力あるヒクラハウスの社長でなければ、宗教もできなかったかも?
でもヤエコへの恨みは無くならないし、他の災厄が生まれそう。救いがありません。
2つ目は宗教。これは「変な家」でも左手供養の狂った宗教がありましたね。
不倫の罪悪感を利用した再生のつどいと、罪を軽減するための改築工事推奨によるビジネスなど、洗脳とは恐ろしい。
3つ目は胸糞悪い殺人事件です。
津原少年の殺人事件(ヒクラハウス間取りのせい?)、水無雨季の叔父叔母によるお絹見殺し?、ヤエコの転落、松江母の焼身自殺偽造、三橋少年餓死など。
間取りや人間の醜い感情から、禁忌を犯してしまうさまが恐ろしいです。
子供が殺される、奪われる、生まれる前に消されるなど、特に子供が関わるとより一層胸糞悪い感情になりました。
特に一番怖かったのは三橋少年の日記です。
最後急に事件の報道があり、これまでの日記の書き方から大きく変わってゾクッとしました。

罪のない人が死んでいくのはいたたまれない…
最後まで残った謎(ヤエコの義足は誰が隠した?)

本書の最後はヤエコの死に関わる緋倉美津子とのインタビューですが、歯切れの悪い終わり方をしていました。
内容はヤエコの義足を隠すのを辞めたはずなのに、義足が隠されていたこと、ヤエコが転落してしまったこと。
つまりヤエコは本当は誰に殺されたのかです。
私の意見ですが、恨みを抱くヤエコ娘(orヤエコ娘の従者である使用人)が義足を隠して間取りの罠を作動させたのではないでしょうか。
罠を張るような美津子の家を作らせたのはヤエコ娘で間違いありません。
美津子が夢かもと言ってましたが、順当に義足隠しを辞めたとして、他の誰かが義足を隠したと考えるのが無難です。
どうやってという部分は他の方も考察している通り、本書には出てこない隠し通路があるのかなと。(あったら面白いという願望も込めて)
隠し通路が美津子の本棚とヤエコの義足置き場を繋いでいる、とか。
他にもヤエコ転落直後のしおりの「すぐそこにある現実」や、しおりが寝る前に感じた視線、美津子が義足を取り出そうとしたときのガサッという音など、なぜか第3者の匂わせのように思えます。
これまでヤエコ娘の指示?で従者が毒を盛ることもあったので、直接は手を下さない卑劣なところを踏まえると従者が実行した説が有力な気がします。

ヤエコ娘がいっちゃん怖い!ヤエコの見せしめと知った時もゾク…
でも過去を考えると、いたたまれないなあ。
他にも美津子が「たくらみペッパーガール」の読者だったかもはっきりしないままでした。
ですがこれは単純に読んでない説。お泊り時に見せたりしないのも変だし嘘をついてるだけではと思いました。
最後のインタビューで悪い人じゃなさそうなんだけど、子供のころだしなあ。
またこれは自分では想像つかなかったことですが、時系列などから「変な家」との関係性もあるのではと考察している人もいました。
これはYoutubeか変な家3などで書かれたり?
いや、後味悪い状態で考察を残して終わるのが雨穴さんの特徴なので、このまま闇に葬られるかもしれません…
まとめ

今回は変な家2をご紹介しました。
前回の続きではないですが、ボリューム満点、変な間取りも満点、後味の悪さも満点でした。
そういえばこの本を読んで、大島てるの事故物件サイトも初めて見ました。
家の近くや実家近くなどを探してみて、聞いたことある話の事件が載ってたり、結構面白い…!
最近「変な家」の完全版がYoutubeで公開されて本の真相が明かされていたので、「変な家2」も続きが出ないかなーなんて思っています。
正直作中での考察は結構楽しい(著者も栗原もガイド役になってくれるから)のですが、終わった後の更なる考察は難しい!!!
頭の良い方、ぜひ考察をたくさん出して教えてください~

これからも雨穴さんの作品を追っていきますよ~





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